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学校現場に生かす精神分析(Salzberger-Wittenberg, Williams and Osborne, 1999 / 平井・鈴木・鵜飼監訳, 2008)

 五感が集めたデータすべてを取り入れ、そこに何らかの意味あるパターンが浮かび上がってくるまで、じっくりと探索し、分からない状態に持ちこたえたときにのみ、真の学び舎発見が起こりえるものなのです。(p.76)

 

 学ぶことの能力には二つの情緒的な要因がからみあっているようです。ひとつは、愛と憎しみ(ある種、生来の要因)のバランスです。これが外的世界についての見方を彩ることで、取り入れ、経験から学ぶ事柄をも彩るのです。もう一つは、両親や子どもの周囲にいる重要な他者が、どこまで子どもに苦痛が調節される経験を与え、そうして世界を探索し、じっくりと味わえるような勇気と希望を与えてくれる援助的な関係を子どもが取り入れられるようにするかです。(p.93)