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対象関係論の実践(祖父江, 2008)

 ビオンがここで発展させたのは、<投影同一化>のコミュニケーションとしての側面である。自己の「悪い部分」が単に投影されるだけではなく、投影されることによって対象との間で無意識的な交流がもたらされ、コミュニケーションの性質を帯びるに至る。したがって母親やセラピストは、自らの感覚に鋭敏になることによって、乳児や患者が伝えてきた不安や感覚を察知することもできる、というのである。(pp.209-210)