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ビオン概念の臨床活用の実際(鈴木, 2011)

 逆転移というのは、あくまで治療者である私の情緒体験である。この場でのもの想いが、アナライザンドのこころに浮かぶ情緒体験と異同なきものでありたいが、逆転移として感じるものにアナライザンドからの投影部分はあったとしても、私のものである限り、逆転移を通した介入や解釈はときに大きく、ときに微妙にずれが生じるものである。すれがあるという事実を鑑みつつ、そのずれをアナライザンドがどう受け取り、どう反応したかを分析家とアナライザンドの両者で検討することによって、治療はさらに展開していくように思う。(p.366)