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注意と解釈(Bion, 1970 / 福本・平井, 2002)

 言語が真実のためとともに、欺瞞と言い逃れの達成のためにも磨き上げられたことを忘れてはならない。(p.198)

 

 精神分析の成功は、精神分析的な観点を維持できるかどうかにかかっている。その観点とは精神分析的な頂点であり、精神分析的な頂点とはOである。分析者はこれに同一化することはできない。彼はそれでなければならない。(p.221)

 

 自分が知っていることにしがみつこうとする試みは、妄想分裂ポジションに類比される心的な状態を断っセするために、抵抗されなければならない。この状態に対して私は、それを「妄想分裂ポジション」から区別するために「忍耐(patience)」という用語を造り出した…(中略)…「忍耐」は、あるパターンが「進展する」まで「事実と理由を短気に追い求める」(キーツ)ことなく維持されるべきである。この状態は、メラニー・クラインが抑鬱ポジションと呼んだものの類比である。この状態に対して私は、「安心(security)」という用語を用いる…(中略)…私は、「忍耐」と「安心」の間の揺れの経験を、価値ある仕事がなされつつある指標として考える。(p.324)