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自殺論(Durkheim, 1897 / 宮島訳, 1985)

 あのあまりにも限定された綱領については、その利点をあまり買いかぶってはならない。それは想像力の遊戯であって、事実の複雑性からはあまりにも程遠く、実践に大いに役だつという代物ではない。社会的現実はそれほど単純なものではないし、それを詳細な点にまでわたって予測するには、まだあまりにも社会的現実について未知の点が多い。ただひとつ、事象との直接的な接触のみが、科学から得られる教訓に、欠けている確定性を与えることができる。(p.504)