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デジタル・ミニマリスト(Newport, 2019 / 池田訳, 2019)

 "デジタル安息日"を設ける、夜はスマートフォンをベッドに持ち込まない、通知を切ってマインドフルに過ごす……といった対策を実行すれば、そもそもテクノロジーを利用する動機になったメリットは今まで通り享受しつつ、同じテクノロジーの害悪を最小限にできるだろう…(中略)…しかし、このタイプのちょっとした軌道修正を試したことがある人ならおそらくもう気づいているように、意思の力や小さな工夫、漠然とした決めごとだけでは、ユーザーの意識に横暴に侵入してくる新しいテクノロジーを退けるのには力不足だ。デジタル・ツールは使わずにいられなくなるように設計されている。しかもその行為依存を助長する文化的な圧力はすさまじく、小手先の対処法ではとうてい歯が立たない。(pp.12-3)

 

 変化を起こしたいなら、インターネット時代ならではのツール、エンターテインメント、そのほか私たちの注意を競って奪うものがでたらめに絡み合ったカオスに振り回されて、自分の時間をどのように使うか、どのような気分で過ごすかの判断を他人まかせにしているようではいけない…(中略)…私たちに必要なのは…(中略)…自分の真の望みや価値観に従って日々の行動を選択するような哲学…(中略)…短期的な満足よりも、長期的な価値を優先するような哲学。(pp.17-8)