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青年のひきこもり(狩野・近藤, 2000)

 ひきこもりは外的な適応様式にではなく、対象との情緒的関わりからの退避という内的対象関係にこそ問題の本質がある。したがって精神分析的精神療法においては、治療者との関係性に再現(転移)され、いわば“hot”な状態になった対象関係の問題にもっぱら治療的焦点があてられる。そして治療的変化や達成も単に日常生活における適応状況からでなく、治療者との関係性の変化によって見極められねばならない。(p.193)