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思春期外来での「支え」について(武井, 2007)

 精神療法における「受容する」や「支える」という言葉は、治療者側からみた精神療法のあり方であるが、これを患者側からみると「自分を表現する」ということになる。この「表現」は、言葉で話をする、描画や箱庭などの作品を作るというように何かをするという行為や動作だけではない。何もしないでただ診察室にいるだけという状態もひとつの表現とみなすことができる。「あなたには何もしないでここに居るだけで十分に意味がある」というメッセージを治療者が傍にいることで思春期患者に伝えたい。子どもたちに自分を表現「場」を提供することで、彼らは自分の気持ちを表現し、自分の気持ちに気づき、自らの判断で行動し、直面した問題を乗り越えていくであろう。(p.1431)