· 

Fugitives of Incest(Ganzarain&Buchele, 1988 / 白波瀬訳, 2000)

 行動化には、耐えがたい痛みを伴った心の内容を伝達しようとする初歩的な試みという意味があるというのが、真実である。こここころの内容は、意識に到達できなかったり、あるいは自発的な行動という形でしか放出できないものである。行動化とは、夢見ることのできない夢のようなものである。この視点に立つと、行動かとは、患者の無意識からの暗号化されたメッセージということになる…(中略)…行動化が繰り返される中で、その試みは次々と更新され、やがて患者も精神療法家もともに隠されたメッセージを取り扱えるようにあるのである。(pp.42-3)

 

 行動化は、こうした患者の治療において避けられないものである。なぜなら、外相的な体験を統制する上で、行動することが必須だからである。さらに、行動は、彼女たちの育った家庭内における関係の持ち方なのである。それゆえ、徹底操作は行動化を止めるのではなく、徐々にそれを修正していくのである。(p.56)

 

 防衛には、精神的な痛みや危険から人を守ると同時に症状を作り出すという二重の働きがある。つまり、防衛には適応的な結果と不適応的な結果がある。(p.85)